蜜の夜 (前編)
※表の小説「悪魔のAphrodisiac」の後日談となります。
昔書いたかなりしょーもない小説ですが、おヒマな方は読んでからどうぞ。
以前、好奇心と誘惑に負けて手に入れてしまった催淫薬。
あのときはアクシデントがあり数回分を一気に自ら飲んでしまい、興奮が最高潮のときに仲間達の邪魔が入るという事態になり散々な思いをした。
もう二度と手を出すまいと心に誓った。
・・・のだが、思いがけず再び手に入れる機会が訪れてしまった。
今日配達の依頼を受けた先は、エッジの繁華街の裏に位置する風俗店“蜜蜂の館”だった。
そう。以前、例のブツを支配人から買ってしまった、ウォールマーケットにあった風俗店を再現した店だ。
あまり関わりたくはないが、配達先によって依頼を断わるわけにはいかない。
荷物を届けてさっさと去ろうと思っていたが、受け取りに出てきたのがあの支配人だった。
「おや、君は・・・」
「・・・こちらにサインをお願いします」
目を合わせないようにしながら受取伝票を差し出した。
「この前はありがとうね、助かったよ。また困った客が増えてきたら頼むよ。で、買っていったアレの方はどうだった?」
・・・やはりきた。
一番聞かれたくなかったこと。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・ま、言いにくいよね。すまんすまん。実はこの荷物、あのクスリなんだけどスタッフの発注ミスでね。多過ぎて困ってるのだよ。世話になったしひとつあげるよ」
支配人はこちらの返事を待たずにいそいそと箱を開けると、俺の手に一袋握らせた。
「・・・いや、これは・・・」
「いいんだいいんだ。気に入ったらまた買ってよ。じゃあね」
俺は閉められたドアの前で、袋を握ったまま固まった。
こうして思いがけず手に入れてしまったあの催淫薬。
効果の程は身をもって実証済みだ。
そして今日は、ティファと二人きりの一週間の6日目。
使いたくなってしまった俺を、誰が責められる?
階下でティファがシャワーを浴びる音をぼんやりと聞きながら、俺は自室のベッドに腰掛け袋を眺めていた。
どうしようか・・・。
事のいきさつを説明し、飲んでみて欲しいと正直に頼むか。
・・・それとも、こっそり盛るか。
俺は思わず首を振った。
盛るのは、良くない。
絶対良くない。
だけど・・・頼んだところで風俗店からもらったこんなクスリをティファが飲んでくれるだろうか。
露骨に眉をひそめるティファの顔がはっきりと頭に浮かんだ。
「・・・・・・・・・」
だめだな。
絶対無理だ。
それに、そんなものを飲ませたがること自体、軽蔑されるかもしれない。
そうなったら今夜の雰囲気はボロボロになり、貴重な夜が台無しだ。
でも、俺は覚えている。
狂わんばかりにティファを欲するあの感覚。
ティファがあれを飲んだら、一体どんな風になるんだろう。
・・・・・・物凄く、見てみたい。
「・・・・・・・・・」
俺はゆっくりと目を開けた。
・・・・・・よし。
意を決して、階下へ向かった。
「あれ、クラウド。飲んでるの?」
バスルームから出てきたティファがカウンターの中にいる俺に気づく。
ドキンと胸が跳ねるが、平静を装った。
「ああ、一杯だけな。ティファの分も用意してる」
俺はティファの好きな酒の入ったグラスを差し出した。
「わぁ、気が利く!いただきます」
美味しそうにグラスに口をつけるティファを見て、俺の胸がチクリと痛んだ。
カウンターに座り、のんびりと話をしながらお互い2杯目を飲み終わる頃、ティファの様子に変化が現れた。
酒のせいにしては赤過ぎる頬をして、ぼんやりと俺を見つめる時間が増えてきた。
俺が見つめ返すと、ハッとした様子で目を逸らし火照った頬を両手で包み冷ましているようだった。
その可愛い仕草に、俺は罪悪感を感じるどころか期待に胸を膨らませてしまっていた。
前回、俺は数回分を一気に飲んでしまったため、気が狂わんばかりにティファが欲しくなった。
ティファのグラスに入れたのは、もちろん一回分だ。
どんな感じなのかな・・・。
注意深くティファを観察した。
瞳は、ずいぶんと潤んでいた。
しきりに瞬きを繰り返し、意識して俺を見ないようにしているようだった。
忙しなく膝を擦り合わせる仕草に、ドキリとする。
もしかして・・・もう、濡れ始めてたりするのか?
思わず唾をゴクリと飲み込んだ。
「ねぇ、クラウド・・・」
「ん?」
「一週間・・・あっという間だったね」
「ああ・・・ほんとだな」
「明後日デンゼルとマリンが帰ってくるのは嬉しいんだけど、クラウドと二人きりの時間が終わっちゃうのは、少し残念・・・」
「うん・・・」
「考えてみると、わたし達二人きりで過ごした時間てすごく少ないんだね」
「そうだな。俺は・・・ずっと前から、もっとその時間が欲しいと思ってた」
「うん・・・」
切なげに瞳を伏せるティファ。
「ねぇ、明日・・・お仕事休めたり・・・しない?」
「それは・・・」
上目遣いに見つめてくるティファに、思わず声が上ずった。
こんな甘えたわがままを言うティファは初めてで、嬉しさが込み上がる。
「・・・・・・調整、してみる」
「ほんと?」
「ああ」
明後日以降がかなり厳しくなるが、こんな風にお願いされたら断わるわけにはいかない。
それに、俺だって休んで一日中ティファと一緒にいたい。
「・・・・・・嬉しい」
呟いてグラスに瞳を落とすティファの横顔に、たまらなくなって思わず抱き寄せた。
ビクリと息を止めたティファだったが、すぐに俺の背中に手を回し、猫のように頬を摺り寄せてきた。
キスをしようと顔を覗き込むと、綺麗な瞳をたっぷり潤ませて、ほんの少し呼吸が乱れていた。
頬を染めたその顔。
ああ、俺にとってはこれだけで催淫薬だ。
明日は一日中ベッドにいて、何度も何度も肌を重ねてしまおうか。
唇を重ねると、すぐにティファが唇を開いて誘う。
舌を差し込むと緩慢な動きで絡みついてくる、ティファの温かな舌。
背中を弄ると、ティファが胸を擦り付けるようにして甘えてきた。
「クラウド・・・」
一生懸命体を擦り付けてくる腰つきが、なんとも艶かしい。
合わせた唇から、ティファの乱れた息が漏れる。
明らかにいつもと違うティファの動き。
体を求められているのを感じた。
「ティファ・・・」
ティファの体を弄る手が止まらなくなる。
「あ・・・」
乳房に手をかけただけで、ティファから大きな吐息が声と共に漏れた。
服の上から乳首を擦ると、ティファがビクリと首を竦めた。
「んんっ!」
いつもよりずっと敏感な反応に、こちらも急速に昂ぶってしまう。
耳に軽く歯を立てながら、さらに強く擦った。
「やっ・・・ああん、クラ・・・ウド・・・」
ティファがあまり出さないような甘ったるい声。
・・・可愛い。
なんだか、苛めたくなる。
服の中に手を差し込んで、胸を直接触った。
固くなった乳首を優しくすり潰すと、椅子から落ちんばかりに腰を跳ね上げた。
「ああぁっ!」
咄嗟に腰を抱えると、そのまま立ち上がらせてカウンターの台に座らせた。
ちょうど顔の前にきたティファの胸をはだけさせると、敏感なその場所をベロリと舐め上げ、吸い付いた。
「や・・・あっ!あん、あっ!」
舌の動きに合わせてビクビクと声を上げるティファ。
声が抑えられないのが伝わってくる。
まずい。
間違って俺が飲んだのかと錯覚するほど、興奮してきた。
「はぁ、はぁ、あー・・・、あ、あ!」
胸だけでこんなに声を上げて。
たまらない。
反対の胸に舌を伸ばしたそのとき、突然頬を両手で包まれそれを阻止された。
「ま、待って、クラウド」
見ると顔を真っ赤にさせたティファが、胸を上下させて乱れた呼吸を整えていた。
「な、なんか・・・変なの・・・。ちょっとだけ、待って・・・」
ティファは胸を抑えてカウンターからそっと降りた。
自身を落ち着かせようとするように、椅子に腰かけて呼吸を整える。
そんなティファを見て、やっとここで罪悪感が込み上がる。
「だ、大丈夫か・・・?苦しいのか?」
「ううん・・・違うの。なんか・・・変なの」
「どう・・・変なんだ?」
「・・・・・・・・・」
戸惑った瞳を泳がせるティファ。
胸がズキンと痛んだ。
もう、白状してしまおうか。
やっぱり、こっそり盛るなんて卑怯なことをするべきではなかった。
「・・・・・・ティファ・・・」
「・・・・・・わたし、クラウドに嫌われちゃうかもしれない」
「・・・え?」
「なんだか・・・・・・変なの」
フラフラ立ち上がると、ゆっくりと抱きついてきた。
「ティファ・・・?」
「・・・・・・体が、変なの。お願い・・・今日はいっぱい・・・抱いて」
消え入りそうなその声に、俺の理性の糸がプツリと切れた。
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リクエスト小説第2弾です。
表にある小説「悪魔のAphrodisiac」の催淫薬をティファが使うお話を、というリクエストを頂きました。
他にも「媚薬モノ」のリクエストがいくつかあったので、こちらを書かせていただきました。
クラウドが飲んだらギャグしか思いつかないけど、ティファが飲むともの凄くエロ可愛いだろうなと想像が膨らみますなー!
また、昔のしょうもない小説から派生したリクエストを考えてもらえて、正直嬉しかったです!
リクエストしてくださった方々、ありがとうございました♪
これで、パンツ窃盗罪に続きクラウドの犯罪歴がひとつ増えましたね(笑)
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