Toy (前編)

「ビンゴだ」

人々の賑やかな声が飛び交い楽しげな音楽が鳴り響く中、クラウドはスッと右手を上げた。

「おーっと!クラウドさんビンゴ!!おめでとうございます!はい〜前へ出てクジ引きをどうぞ!」

司会慣れしていそうなシドの部下に促され、クラウドは会場の前面に歩み出た。

「おぅクラウド!ティファのためにもいいモン当ててやれよ!」

雛壇で行儀悪くのけぞっているシドが大声をあげた。

「もちろん特賞狙いだ」

ホロ酔い加減のクラウドは、シドにニヤリと笑ってみせた。

 

今はシドとシエラの結婚式二次会。
ビンゴの景品、特賞は
“艇長と行く!シエラ号でゴールドソーサー、ミディール温泉旅行ツアー(入場チケット付き)”
つまりシドが飛空艇で観光地を連れ回してくれるというわけだ。
これに飛びついたのはもちろん子ども達だった。

「頑張れクラウド!」

「絶対特賞とってね!」

デンゼルとマリンが声援を送る。

「任せておけ」

自信満々に二人に手を上げるクラウド。

「さ〜〜何が出るかな何が出るかな!」

司会の掛け声の中、クラウドはクジ引きボックスに手を入れゴソゴソとかき混ぜた。

「これだ」

取り出し掲げたボールに書かれたナンバーは、12。

「えーっと12番・・・・・・はい!大人のおもちゃセットDXです!」

クラウドにハート柄の包装紙に包まれた箱が手渡された。

「コレはちょっとばかり聞きにくいですが〜はい、一言お願いします!」

非情にもマイクを向けられ、固まるクラウド。
その顔がみるみる赤くなっていく。
それと同時に、会場の視線をこっそり集めたティファの顔もみるみる赤くなっていく。

「ガーッハハハハ!!」

大ウケするシドをよそに、会場には気まずく、どこかピンク色の微妙な空気が漂った。
このときデンゼルとマリンを除く会場の全員が想像してしまったことは、言うまでもない。

 


数日後。
就寝前、クラウドは寝室のクローゼットの奥深くに隠したその箱を取り出した。

「ティファ、これ・・・どうしようか」

なんとなくお互い話題にするのを避けていた箱を目にし、ティファはギクリと体を強張らせた。

「・・・もう、悪趣味よね!そんなもの景品に入れるなんて。子ども達もいたのに」

ティファは「大人のおもちゃ」をキーワードにして注目を浴びてしまったことを思い出し赤面した。

「ああ、二人にそれ何って問い詰められたときは辛かったな」

「クラウド、よく切り抜けたよね」

しつこく中身を見たがる二人に、クラウドは「真っ白で何も描かれていない細かいパズルだ。通称地獄パズル。大人しか楽しめない。やめておけ」と早口でまくし立てたのだった。
「げ〜〜知ってる知ってる。俺絶対やだあんなの」
「なんだーつまんない」
素直にクラウドを信じた二人は口を尖らせ興味をなくし、クラウドとティファは胸をなでおろしたのだった。

「なかなか機転が利いたよね」

「ああ、なんとかなってよかった。・・・・・・で、どうする?」

「・・・・・・え?」

「これ、どうする?」

大人のおもちゃセットDXの箱を持つクラウドの瞳はやけに爛々としていた。

(・・・クラウドったら、使う気だわ)

ティファは青くなってそっと目を逸らせた。

「もちろん、捨てましょう」

ティファは、ウォールマーケットでこういった類の店が店頭に商品を並べているのを目にしたことがあるので大人のおもちゃたるものは知っていた。
初めてその存在を知ったときひどく嫌悪感を抱いたことを覚えている。

「・・・だよな」

俯くクラウドのその口調は、同調ではなく明らかに落胆だった。

「もう・・・使うわけないじゃない、そんなもの」

「・・・なぁ、そういえばティファはなんで知ってるんだ?こういうもの。もしかして・・・」

「ウォールマーケットにそういうの売ってるお店があったから!もちろん入ったことはないわよ。なんでそんな詮索するのよ」

「わ、悪い」

不機嫌になり始めたティファに、こりゃ無理だと踏んでクラウドは箱をクローゼットに戻した。

「なんでしまうのよ!捨てようって言ったじゃない」

ビクリと体が跳ねるあたり我ながら情けない。
しかしイライラし出したティファは怖い。
クラウドは観念して箱を持ち上げた。

「・・・わかったよ」

クラウドはしばらく考えてから振り向いた。

「じゃあ一緒に見るだけ見てから捨てたっていいだろ?ちょっと見てみたくないか?こんな機会もうないぞ」

「・・・・・・」

あんまり見たくもないけれど、それでクラウドの気が済むなら。

「・・・本当に見るだけね」

「ああ」

二人はベッドの上に正座し、間に箱を置いた。

「いくぞ」

「・・・うん」

クラウドがそっと蓋を開けると、そこにはえげつない形の・・・・・・!ものは一つもなく、拍子抜けする程可愛らしいものがいくつか入っていた。

ピンクのキルト生地にラインストーンが施されたアイマスク。
モコモコ素材の腕輪。
猫の手の形のキーホルダー。
可愛いボトルに入ったローション。
何種類かのコンドーム。
女性用のスケスケ下着が一着。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・どうだ?」

「・・・ど、どうって言われても」

「意外と・・・あれだな」

「うん、思ってたよりは気持ち悪くない・・・かな」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「よし!じゃあ、捨てよっか!」

「・・・いや、捨てることないんじゃないか」

「クラウド」

「だってほら・・・これとか使えるだろ」

コンドームの袋を指先でつまみ観察するクラウド。

「ゼリーたっぷりって書いてある。まぁ、ティファには必要ないか・・・」

スパンッ!
赤くなったティファがクラウドの側頭部を小気味良い音をさせてはたいた。

「バカ言ってないで早く捨てて!」

「別に捨てなくても、アイマスクだって昼寝のときにも使えるだろ」

はたかれた痛みもなんのその。
根気良く食い下がるクラウド。

「このキーホルダーだって肉球が柔らかくて可愛いんじゃ・・・」

と、そこでキーホルダーにスイッチがついているのを発見しクラウドの心臓がドキリと跳ねた。

(コレ・・・もしかして、ローターってやつか?)

見たところスイッチを押してどこかが光るというわけでもなさそうだ。
何よりもこの箱に入っていたのだから、そういうことなのだろう。

「どれ?見せて」

「こ!この腕輪はどうだ?使えないか?」

慌てて話題を逸らせた。

「何に?使えるわけないじゃない。繋げる金具付いてるから手錠みたいになるのかしら・・・いやね」

「・・・・・・」

ローター・・・。

存在を知った日からいつかティファに使ってみたいと思っていたが、自分で手に入れる勇気も機会もなく淡い夢のまま終わると思っていたシロモノが今ここに。

シド、ありがとう。
二次会の幹事さん、ありがとう。

「どうしたの、クラウド」

「ティファ」

「!」

突然のクラウドの低い囁きに身構えるティファ。

「ダメよクラウド。絶対使わないから。縛られるなんて絶対いや」

「・・・?縛ったりなんかしない。これだけ、つけてくれ」

クラウドが手にとり差し出したのは。

「・・・アイマスク?」

「うん」

「・・・・・・・・・」

「これだけつけてくれたら、スケスケ下着も手錠もイボイボついたゴムも全部捨てるから!」

「わ、わかった、わかったわよ!しー!」

興奮して声を荒げるクラウドを慌ててなだめるティファ。

「・・・えーと・・・・・・い、いま?」

「うん」

「・・・・・・」

こんな流れもムードもない状態で?
・・・まぁ、その方が誤魔化してすぐに外して終わらせられるかも。

「・・・少しだけだからね」

ティファは渋々アイマスクを装着した。
アイマスクをして心許なげなティファの姿を見て、クラウドは思わず唾を飲み込んだ。
たったこれだけでアブノーマルな雰囲気が辺りに漂う。
ティファは落ち着かなげに両手の指先を絡めていた。

「不安か?」

「不安・・・って言ったらやめてくれる?」

「・・・だめだ」

クラウドは俯きがちなティファの唇に自身の唇を重ねた。
突然の接触にピクリと跳ねたティファだったが、次第に肩の力を抜いて応え始めた。

チュ・・・チュ・・・・・・チュ・・・

小さな音を立てながら何度も重なる唇。
自然と薄く開いたティファの唇の中へクラウドの舌が侵入した。

「ん・・・」

いつもと違いクラウドの腕が背を支えてくれない。
唇だけの接触にティファは次第に心細さを感じ始めた。

「クラウド・・・」

「ん?」

「もう、外していい?」

「ああ、いいよ。やっぱりティファの顔見ながらキスしたい」

アイマスクをそっと上にズラされ、ホッとしてティファは目を開けた。
アイマスクが前髪を一緒に巻き込み、ティファのつるりとしたおでこがさらけ出された。

「・・・可愛い」

くすりと笑ってキスを再開するクラウド。

「んん・・・」

だんだんとクラウドの侵入が深くなる。
柔らかな舌に自分の舌をねっとり絡みとられ、ティファは頭がぼんやりとしてくるのを意識した。

ひとしきりキスをし終えると二人は見つめ合った。
微かにクラウドは微笑むと、当たり前のようにアイマスクを引き下げた。

「えっ」

戸惑うティファの肩を掴むと、クラウドはポスンとベッドに押し倒した。

「クラウド・・・」

「・・・・・・」

「ねぇったら、クラウド」

「・・・・・・」

視界を奪われたままだと、無言のクラウドがやたらと怖くなる。
自分でアイマスクを外そうと手を伸ばしたとき、いきなり服の上から胸の先端を擦られる感覚にティファの体が跳ねた。

「あっ!」

「・・・当たった」

「・・・・・・」

思わず胸を腕で隠すと、鎖骨をつ、と撫でられた。

「ひゃ・・・」

首をすくめるティファの反応にクラウドがほくそ笑む。

「やだ・・・やめて」

「・・・どんな感じ?」

「・・・・・・」

唇を噛み身を縮めるティファに、クラウドはゾクゾクとする感覚を覚えた。

(やばいな、これ・・・)

クラウドは服をめくり脇腹にキスをした。
ビク、と震えるティファの体。
もっとめくり上げ、いきなり乳首を舐めあげるとティファは悲鳴を上げた。

「あぁあっ!や、やだ!」

明らかにいつもより反応が大きい。
見えないから予測がつかなくて感覚が増幅されるのかも。
クラウドは夢中になって先端に愛撫を続けた。

「や、あっ・・・!あ、あ・・・!は、はい、もうおしまい!」

慌ててアイマスクを外そうとするとクラウドの指が先にそれを上にズラした。
真っ赤な頬でティファが目を開くと、さっき見たときより爛々としたクラウドの瞳に覗き込まれた。

「・・・やめられると思うか?」

そう言うと、ティファの視界は再び柔らかな布で覆われた。

 

 

 

 

NEXT

 

 

久しぶりの更新です。
バタバタしているうちに、前回の更新が9月!?ビックリです。
だいぶ前にリクエストを募集したとき、大人のおもちゃを使っちゃうクラティっていうのが何件かあったので思い切ってやってみることにしました。
今回のお話を書こうと思っておもちゃについて検索してみたんですけど、正直ドン引きしました。色んなのがあるんですね〜・・・
ちょっとエグいのはクラティには似合わないので、ソフトにいこうと思います。イヒッ!
しかし、こういう感じ実際クラウド好きそう(笑)


↓管理人のヤル気が出ます↓
お返事はMEMOにて

 

 

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