One‐Shot (中編その1)

 

 

 

「ティーファ〜!来たよー!お腹空いた!」

二階に向かい大声で呼びかけるユフィに、ティファが驚いた顔を覗かせた。

「ユフィ!どうしたの、うちに来るの昼の予定じゃなかったっけ?」

「うん、そうだけど早く着いたから来ちゃった。朝ごはんまだ食べてないんだ、何か食べさせて〜」

「はいはい」

にこにこして降りてくるティファの後ろから子ども達が顔を出した。

「あーユフィお姉ちゃん!早かったね!」

家の空気を変えてくれそうな彼女の登場に子ども達も嬉しそうだ。

「あれ〜アンタ達まだ学校行ってなかったの?」

「うん、でももう出るところ。帰ってくる頃まだいるよね?」

「うんいるよ〜。帰って来てから遊ぼ!」

「うん!」

ニシシと笑うユフィに嬉しそうに頷くデンゼルとマリン。

階段を降りきるとクラウドの姿がないことに気づいたティファだが、あえてそのことに触れないその様子にユフィが片眉を上げた。

「ユフィ、何がいい?ホットサンドはどう?」

「いいね」

キッチンに入るティファの様子を伺いながらユフィはカウンターに座った。

「今回は何が原因〜?さっきクラウドにも聞いたらうるさいっつって出てっちゃったよ」

「・・・なんのこと?」

「またケンカしてるでしょ。さっきの見てたよ」

呆れ顔のユフィ。

「・・・・・・言いたくない」

口を尖らせながらパンに挟む食材を用意するティファ。
ユフィは頬杖をついた。

「ふ〜ん、別にいいけどさぁ。明日からなっがい間アイツいなくなるんだよ。このまんまでいいワケ?」

「別にいい」

本心ではないけれど、無理にそう思い込もうとしている。
ティファはそれほどにショックを受け怒っていた。

「ふ〜ん」

その時、バタバタと階段を駆け下りてくる二人分の足音。

「じゃあねユフィお姉ちゃん、後でね!ティファ行ってきまーす!」

「おぅ、後でね!」

「行ってらっしゃい。気をつけて」

家を飛び出ていく二人の後ろ姿を見送ると、ユフィはティファに向き直った。

「あのさぁ、前にリーブの手伝いしたときに聞いた話なんだけどさ」

「うん」

「リーブんとこの仕事って結構遠征多いじゃん。でさ、彼女いたり妻子持ちの隊員、当たり前のように浮気してるらしいよ。休養日に現地の女買って。男ってサイテーだよね〜」

「・・・・・・」

「ましてや今回特に長いじゃん。今までそーいうのしなかったヤツもストレスとかあったり、周りがあたりまえのようにやってんの見たり聞いたりしたら手を出しちゃったりすんじゃないの」

「・・・何が言いたいの?」

不機嫌な顔でホットサンドメーカーを閉めるティファ。

「だーかーらー!クラウドだよ!あれだって一応男だろ」

「一応って・・・。クラウドはそういうの、しないもの」

「あっ、そ。ずいぶん余裕あんだね〜。知らないよ、浮気されても。こんな状態のまま行って、向こうでヤケになっちゃったらどうすんのさ」

ティファの脳裏にクラウドの言葉が浮かぶ。
――俺も男だから・・・我慢の限界がくる。その時のために――
(あれは、そういう意味なの・・・?)

「・・・・・・・・・」

わずかに動揺して悲しげに伏せられる瞳を見て、ユフィは少々慌てた。

「ま、さ。確かにクラウドはティファにゾッコン?だから、アタシも本気で思ってるわけじゃないけど」

「・・・・・・」

「アタシが言いたいのは、しばらく離れ離れになるんだし早く仲直りしといた方がいいんじゃないのってコトだけ」

ユフィの好きなオレンジジュースをグラスに注ぎ、コトリとユフィの前に置くティファ。

「・・・そう、だね。うん。考えてみる。ありがとね、ユフィ」

ユフィは満足気に頷いた。

「どういたしまして。気が済まないならわたしがアイツの顔面に一発入れてやってもいいし。どうせ悪いのはあいつでしょ」

「まぁ、そうね」

クスクス笑うティファ。

「で?何があったって?」

「えっ?」

ギクリとすると、ティファは顔を背けた。

「い、言わないって言ったでしょ」

「教えてよ」

「いや」

「言えって」

「いやだってば。はいはい、ホットサンド出来たよ!」

いいタイミングで出来上がったアツアツのホットサンドを取り出し、半分に切ってサラダと一緒に盛り付けるとユフィの前に置いた。

「うひょ〜美味そう!ちゃんとサラダと盛るのがさすがティファだよね〜。で、原因は?」

「うっ」

やけにしつこいユフィ。
早期解決に手を貸そうとしてくれているんだろうけど・・・。

「ティファも頑固なとこあるからさ〜。アタシが第三者から見て意見言ってやろうって思ってんの。言ってみなよ」

ホットサンドを頬張りながら偉そうに仰け反るユフィ。
こちらが言うまで尋問攻めしそうなユフィに、ティファは諦めのため息をついた。

「・・・・・・・・・あ、あのね」

「うん」

真っ赤になって両手をもじもじさせるティファ。

「クラウドが・・・写真・・・撮ろうとしてきて・・・」

「うん?」

「わたしの、写真・・・」

「・・・はい?」

ユフィがだんだん呆れ顔になってくる。
慌ててティファは怒った顔を作る。

「信じられないの。な、なんとね、は、裸の写真!」

ポカンと口を開けるユフィ。
ユフィの様子にティファは真っ赤になって何も言えなくなる。

「・・・っ、ダ――ハッハッハッハッ!!!ウケる!アンタ達超ウケる〜〜!!」

突っ伏して腹を抱えて笑い転げるユフィにティファは目を丸くした。

「なっ!笑い事じゃないでしょ!?」

「笑い事だよ!アホくさ――!!」

尚も笑い転げるユフィにティファは憤慨した。

「やっぱり、い、言わなきゃよかった、もぅ!」

プリプリしながらホットサンドメーカーや食材を片付け始めるティファ。

「なんだよクラウド超アホ!!超アホで超カワイイじゃん!なんで怒ってんのティファ!?撮らせてやんなよ〜」

ヒーヒー言って目の端の涙を指で拭うユフィ。

「イヤよ!全然可愛くない。変態よ!」

またブフーッと吹き出すユフィ。

「変態ねぇ、まぁ変態なのかね。旅のお供にティファのエロい写真持って行きたいなんて、変態なくらいティファが好きなんだね〜」

その言葉にティファがピクリと動きを止めた。
それを見てここぞとばかりにユフィは畳み掛ける。

「ムラムラしたとき他の女じゃなくてティファがいいってんなら、可愛いじゃん。撮らせてやんなよ」

その言葉に、ティファが揺れる。

「まぁ女は買わなくても、仕方なくもエロ本買って他の女の体見てるクラウド想像してみなよ。結構イヤじゃない?キモいし。・・・まぁあいつはエロ本買う度胸もなさそうだけど」

「・・・・・・そう、ね。うん・・・ちょっと考えてみる・・・」

「うんうん。おっぱいの写真撮らせても減るもんじゃないし」

「もう、ユフィはすぐそういう言い方して!」

笑い合いながらユフィは思う。

(これは後でクラウドからいいマテリア貰わないとね〜!)

 

 

 

ユフィがまだ居ると踏んでか、クラウドは昼を過ぎても帰って来なかった。
学校から帰ってきた子ども達と外に遊びに出たユフィだが、夕方時、子ども達と一緒には帰って来なかった。
慌てて携帯を呼び出すティファ。

「ユフィ?夕飯食べてうちに泊まるんじゃないの?ユフィの分も夕飯作ってあるよ」

『やだな〜明日から任務なのにアタシもそこまで野暮じゃないって。ごゆっくりイチャイチャすれば〜』

「またすぐそういう・・・」

『ああ、そうそう。それに今夜は撮影会じゃん。いいポーズとってやんなよ!』

「もう、ユフィ!」

笑うユフィ。

「・・・明日から、ユフィも気をつけてね。頑張って」

『うん、あんがと。ティファも頑張んなよ〜』

プツリと切れる電話。
たぶん最後の「頑張んなよ」は、会えない期間の寂しさについて言っているんだろう。
最近、ユフィが大人びた気づかいや優しさを見せるようになったことを思い、ティファの胸はくすぐったくなった。

 

 

NEXT

 

ユフィグッジョブ!
さぁ、次回はいよいよ撮影会です(笑)

 

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